どこに行ってもサービス付高齢者向け住宅(サ高住)の話ばかり。整備事業の説明会も全国で粛々と行われ、事業が推進されていく模様。しかし、運営段階に大きなリスクが横たわっているように思います。確かに整備事業において補助金が出ることは開発に追い風ではありますが、どちらかというと建設会社と賃貸するオーナー(地主)にとって有利であっても、肝心な運営者にとっては果たしてどうでしょうか。
サ高住は従来の高専賃の延長上にあります。2005年から始まった高専賃事業がなかなか軌道に乗らなかった原因はその運営にあることを多くの方はもう一度知るべきではないでしょうか。
サ高住は介護付き有料老人ホームやグループホームの定額制の介護保険が下りる施設と異なり、介護サービスは訪問介護事業所を併設することで、或いは外部の訪問介護事業所と提携することで提供するというビジネスモデルですから、収益確保が難しいという弱点があります。皆さんが介護保険を使うとは限らないからです。
多くの高専賃に取り組んできた運営会社は、運営リスクを避ける為に、どちらかというと介護度の軽い方や自立の方を対象にしてきました。軽めの高齢者を入れれば介護保険が使えないために月額の利用料を上げざるを得なかった、利用料を上げると入居募集が難しくなるというジレンマの中で挫折をしていきました。
サ高住はこのように収益確保が難しい事業なのです。従って、今回3万戸の供給がなされた場合に、地主や建築会社にとっては確かに追い風でも、
それを運営し収益を確保するには一定のノウハウが必要であることをしっかりと認識して頂きたいと思います。ノウハウとは知識×経験であり、累積経験量がノウハウを形成するといっても過言ではありません。素人でできる事業ではないのです。
これまで建設、不動産会社、介護事業者、医療法人等が数多くチャレンジをしました。当初、高齢者向け住宅であるということから、建設・不動産関係の方々が取り組まれましたが、その難易度の高さに軒並み撤退をしていった時期がありました。医療法人も病院がやるから入るであろうといった安易な取り組みで挫折をした事例等、失敗事例には枚挙にいとまがありません。
今回は恐らく建築関係が主導して、地主に対して補助金を狙ってのアプローチが盛んになると思われます。従来建築コストに対して10%の支払家賃が払われるとすれば、今回は10%を上限に補助金がでるので、実質補助金が入った段階で利回りは11.1%とアップすると強調することでしょう。
しかし、その補助対象になるのは原則25㎡でトイレ、洗面、キッチン、お風呂とフル装備型の自立向け住宅とすれば、運営者は高い賃料を払わざるを得ず、料金設定等において金額がアップするために入居リスクをもろにかぶることになります。しかも、自立系が入ると介護保険を使えないという悪循環に陥る可能性が極めて高いといえます。
最終的には運営者が破綻をし、地主がそのツケを払うといったことにならなければ良いのですが。
美味しい話には必ず裏があることを関係者はしっかりと肝に銘ずべきと思います。
地主は運営会社がサ高住を運営するだけのノウハウのある会社かどうかを見極める必要があります。それが最大のポイントでしょう。
テーマ:社長ブログ
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- 2011/05/23(月) 22:39:35|
- 医療・介護制度
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